ローレライの唄う調べに包まれた城の、玉座の間。深紅の絨毯が続く先、一段高くなったところに彼はいた。赤い布張りの、権威の玉座に腰掛け、眠っているかのように目を閉じている。 背後の大きな窓から、歪んだ三日月が覗く。確かに月は見えるのに、不思議なことに月光は城へと射さない、まるで畏れるように。代わりに、どこか不気味な輝きを放つ水晶が、何かの胎動のような明滅を繰り返しながら、彼を照らす。それによって出来た陰影は血のような暗褐色。 音もなく、新たな影が降り立つ。この異様な場に似合いの、青褪めた肌と痩せ細った手足。床に落ちる血色の影は、悪魔の二本角と、伸びた爪、尖った尻尾を持っていた。 音ではなく、気配で謁見者の存在を悟ったのか、玉座に座する青年が目を開いた。 闇夜に浮かぶ銀の長い髪、冬の晴れた空のような青い双眸は、陽の光の下でならさぞや美しいことだろう。けれど今は、ただただ、禍々しいだけ。 「俺が望むのは、楽園の乙女、女神の魂を宿す者、女神ブリュンヒルデの幻影」 幾つもの言葉で、たったひとつの存在を表す。絶対的な支配者の眼差しを人ならざる少年へ向け、呟いた。底冷えするような視線を受けても、少年はただ無感動にそこ佇む。 「だから心など邪魔なだけだ。 無論、壊してしまっても構わないが…っく」 突然、苦痛に顔を歪め、言葉が途切れる。顔を覆う手指の隙間から、強い意志を持った瞳が覗く。その輝きに射竦められた少年が、びくりと身を震わせ息をつめた。 荒く切れ切れに呼吸を繰り返した後で、青年は大きく息を吸う。何事もなかったかのように、ゆるりと顔を上げた。その瞳に輝きはない。 「…だが可愛い妹だからな。救えるものなら、救ってやりたい」 なぁ、夢魔。酷薄に吐き捨てて、汗で額に貼りついた髪を掻き上げる。 「うっわあ…よく言うよ。全っ然そんなこと思ってないくせに」 「早くあの娘の心を甘い悪夢に囚えてしまうことだ。 そうすれば、お前の好きにしていいぞ」 薄く笑って手を一度振り、興を失ったように目を閉じた。 夢魔と呼ばれた少年は、ハイハイとぞんざいな返事をして、魔王に向かって恭しく礼をした。その顔を上げる前に、現われたときのように音もなく姿が掻き消えた。 手袋越しに温もりを分かち合った手を解く。吐息が触れるほど近くに寄り添った頬をかすめて頭へと手を伸ばした。そのまま優しく撫でれば、見上げる大きな瞳が幸せそうに潤んだ。 ずっと会いたかったと言う声も、かすかに涙の滲む瞳も、安堵と不安が入り混じって揺れている。 キスしてくれないか。そう言って自らの頬を指差して笑うと、一瞬、戸惑いにかその表情が曇る。けれど彼女はそっと目を閉じて、柔らかな熱を頬に伝えた。 名前を呼んで愛を囁けば、彼女もまたふわりと微笑んだ。 「ヤーコプ兄さん……」 ああ、いつも自分の前ではあんなに気丈なのに、この表情は何だろう。永遠に捕えておきたいと、願いたくなる。 逃れられないように、押さえつけて。 「……なーんちゃって、捕まえた、ヘンリエッタ」 驚愕に目を見開く少女に、笑いながら何が起こったか教えてあげれば、みるみるうちに拒絶のいろが滲む。 「オレがアンタの主…そして、ここがお前の墓場ってことだ」 逃れようと暴れる一瞬の隙をついて額に手をかざし、夢の中で見る夢に落してやる。 くたりと力を失くした身体を離して、頬を伝う涙に手を伸ばす。が、長く尖った爪で傷をつけてしまいそうで、ぴたりと止まった。 「……やっぱりこっちの方の姿がいっか」 呟いて、先ほどまでとっていた姿になる。少女が心から愛する兄の姿。 「もう大丈夫…俺がずっと傍にいるよ。だから安心してお休み、ヘンリエッタ」 躊躇いなく頬に触れて、ヤーコプ・グリムそのものの仕種で優しく涙を拭った。 深い、二度と目覚めることのない眠りに就いた少女を抱いて、青年は微笑んだ。もうその瞼を震わせる日は永遠にこない。それを知っているにも関わらず、起こさないようにというように、そうっと小さな体を寝台に横たえる。彼女のためにしつらえた褥は、彼女の体には大きく、脚を伸ばしてもまだ余りある。 「懐かしいだろう?昔はよくこうやって、お前の眠りを見守っていたものな…」 眠る少女か、それとも自身かに語りかけて、小さな額にかかる髪を払ってやる。答えがないことにひどく満足した様子で、柔らかな赤毛を指に絡めて梳いた。 「…ああ、やはり面影があるな。まだ幼いが、長ずればさぞや美しくなるだろう」 まるで、現在から続く未来だけではなく、過去までもが手中にあるようだ。 ひどく愛しい想いに駆られ、そのあどけない頬に手を伸ばす。 その手が届く前に、淡い色の唇が小さく瞬いた。 昔、あるところに暖かな夕日色の小鳥がいた。小鳥は小さな翼をはばたかせ、愛らしい声で優しい唄を囀っていた。 貧しいものにも、寂しいものにも、弱いものにも、その小鳥はそっと寄り添い、愛されていた。 昔、あるところに二人の悪魔がいた。 一人は、耳が聞こえない悪魔。 一人は、目が見えない悪魔。 ある日、彼は青い空を美しく飛ぶ小鳥を目にした。 ある日、彼は暗闇の中に甘く響く唄を耳にした。 だけれど彼は、自分には聴こえない小鳥の唄を聞けるものたちがうらめしかった。 だけれど彼は、自分には見えない小鳥の羽を愛でるものたちがうらやましかった。 だから、彼らは小鳥を自分ひとりのものにしたいと考えた。 二人の悪魔は月のない夜に話し合う。 俺の望みは、あの暖かい色の翼。 オレの願いは、オレだけの唄。 目が見えない彼と、耳が聞こえない彼が、なぜ話し合うことが出来たのかは、分からない。 もしかしたら、同じ小鳥を求める思いが、二人を通じ合わせたのかもしれない。 太陽が昇るころには、彼らの話し合いは終わっていた。 お互いに欲しいものが違う彼らは、一羽の小鳥を分け合うことにしたのだ。 そうして、みんなに愛された小鳥は、人々の前から姿を消した。 どうしても小鳥を忘れられない人々は、小鳥の姿を声を捜し続けたけれど、どの山を捜してもどの谷を捜してもどの森を捜しても…見つからなかった。 やがて、小鳥を捜す人々は、誰ひとりとしていなくなった。 そして、今、小鳥は―… 「……ヤーコプ兄さん」 自らの膝の上で、安らかな眠りに就いていた少女が、不意に目を覚ました。慌てて起き上がろうとするのを、頭を撫でる振りをして、そっと押さえつける。大人しくなった少女に、満足げな笑みを浮かべた。 逆光でよく見えないけれど、兄さんが微笑んだ気配がして、心がざわめいた。笑顔を見るたびに心臓が早鐘を打つ。頭のどこかで、何かが違うと叫ぶ声がする。 「どうした、ヘンリエッタ。浮かない顔をして… 怖い夢でも見たのか?」 風が吹いて、雲が流れて、太陽が陰る。眩しくて分からなかった兄さんの顔が、はっきり見えた。笑顔の裏に苦しさが滲んでいて、ちょっと大げさなぐらい心配してくれているのが、伝わってくる。甘すぎる兄さんに、ううんと首を横に振って、笑い返した。 膝枕されたまま手を伸ばして、兄さんの手にある本の表紙の文字を指でなぞる。 刻まれているのは、『小鳥と悪魔』。 兄さんが書いた本で、悲しいお話だからと、本棚の高いところに置かれていたうちの一冊だ。 (だけど、こっそり読んだことあるのよね…) 確かに、悲しいお話だった。誰も救われない物語。みんなに愛された小鳥も、最後は―。 (あれ?でも、どうやって本を取ったのかしら…) 大きくなった今なら、椅子を使えば手が届くけれど、あの頃の自分ではそれでも遠い。 そう、だからあの子が協力してくれた。 (あの子…?あの子って誰?ルートヴィッヒ? ううん、違う。だってあの子は、私より小さくて、でも身軽で…) 「ヘンリエッタ」 名前を呼ばれて、返事をするより早く、目の前が真っ暗になる。あれ?と思ったときには、唇に柔らかいものが触れた。 「っな、な、なにするの!?兄さん!!」 「また眠ってしまったようだからな。眠り姫の目を覚ますには、キスしかないだろう?」 とび起きて、唇を押さえる。恥ずかしくて、兄さんの顔を見ることも出来なかった。一瞬の感触、氷のように冷たかったのに、触れられた唇が熱い。 「はは、そんなに隠すな。お前にそんな風にされると、とても傷つくぞ。 それに…また、触れたくなるだろう?」 離れた以上の距離を詰めて、顎を指で捕えて上向かせる。 熱い吐息と囁きに、唇どころか顔を両手で覆ってヘンリエッタは俯いた。 そのとき初めて、頬が濡れていたことに気付く。ほんのわずかに残った冷静な部分が、雨でも降ったのかしら、とぼんやりと考えた。 「そして、今、小鳥は、美しい翼を持つ小さな体は、耳が聞こえない悪魔のものになった。 悪魔は深く小鳥を慈しんだ。もう木の実を探して森を飛ばなくていい小鳥の翼は、木々の枝や葉っぱに傷つけられることはなかった。永遠に美しいまま、彼の傍にあった」 腕の中で身を強張らせるヘンリエッタを抱いたまま、物語を諳んじる。 「優しい唄を歌う暖かな心は、目が見えない悪魔のものになった。 悪魔はとても小鳥を大事にした。喉を嗄らす夏の日差しからも、凍える冬の冷たい雪からも小鳥を遠ざけ、命の芽吹く春と豊かな実りの秋のあるところにだけ連れて行った。いつでも優しい唄が、彼に歌われた」 何という皮肉な物語だろう、と夢魔は笑った。少女と魔王と自分のことを語っているようだ。 少女の体は魔王に、心は自分に。そしてその二人は、この話を書いたヤーコプ・グリムの姿で少女を愛でているのだ。 「こうして、儚い命だった小鳥は、永遠に、悪魔と共に―」 (そうだ、ヘンリエッタ。ずっとオレの傍にいろ。アンタの大好きなヤーコプの姿で、幸せな夢を、夢と分からない夢を見せてやる。 ヤーコプが魔王になったことも知らずに、このヤーコプが本物ではないことも知らずに。 ずっと、ずっと…) ヤーコプの姿を借りながら、彼ではない表情で、縋りつくようにヘンリエッタを強く抱きしめる。 その拍子に、また、涙が一つ頬から零れ落ちた。 かすかな声が、青年の名を呼んだ。たったそれだけのことで、触れようと伸ばした両手が動かなくなる。あとほんの少し指を動かせば、温もりに触れるというのに、何者かに阻まれたかのようにぴくりともしない。 わずかに驚きに目を見張った彼の唇もまた、少女の名を綴る。 呼ばれたのも、呼ぶのも、彼の邪魔をするのも、全ては彼であって彼ではない青年。 「…人間の家族の情愛というのも馬鹿に出来ないものだな。 それほどまでに愛おしいのなら」 最早潰えたと思った存在に、抗い続ける彼に、彼は目を眇めて語りかける。 永いときを過ごしてきた彼には瞬きほどでしかないが、彼にとっては長く、そして苦痛に満ちた歳月だっただろう。それでも狂わなかった哀れな男に、最期の慈悲をくれてやろう。 自由にならない両手はそのままに、彼は半身を前に倒す。支えを失ったものは地に落ちる。その法則に従い、青年の体も少女に重なるように傾ぐ。が、その小さな体を押し潰す前に、彼の腕が自身を支えた。 少女に覆い被さるようにして止まったまま、その寝顔をじっと見つめる。長い長い髪が、幕のように他の全てを遮って、彼の瞳には少女しか映らない。 「ヤーコプ・グリム………ヘンリエッタ・グリムへの別離の口づけを許してやろう」 そう呟いた唇が、躊躇いなく少女の唇を塞いだ。寝台に着き体を支える手が、抗うように爪を立てて掛布を握りしめた。命ある証として穏やかな息を漏らす、薄く開いた隙間から、己が力を流し込む。 どれくらいそうしていたか、力なく手が緩んだ。焦がれたときに比すれば、刹那にも満たない後、魔王は唇を離し、身を起こした。 「……ようやく手に入れた」 頬に伸ばした手は、何者にも邪魔されることなく、容易く温もりに辿り着く。 「ブリュンヒルデ」 少女のものではない名を囁いて、彼は壊れものに触れるように頬を撫でた。ヘンリエッタと呼ばれた少女は、もうどこにもいない。 丸みを帯びていた頬はすっきりとした輪郭になり、ふくよかな膨らみの上で組まれた手指も、伸びきった脚も、華奢で美しい。凛とした眉も、瞼を縁取る長い睫毛も、通った鼻梁も、今は濡れた、一片の花のような唇も、子供では持ちえない艶がある。 成熟した女。いや、神々しくすらあるその姿は、人ではあり得ない。その容貌も肢体も、気高い女神の造形だ。 「っ!」 魂に募る衝動に突き動かされるように、今や魔王と呼ばれるヴォーダンは、女神ブリュンヒルデを掻き抱いた。永遠に眠り続け、自分の腕から逃れることのないブリュンヒルデ。意識のない体は人形のように、大人しくヴォーダンに身を委ねる。 「愛している。絶対に離さない。お前は永劫に、いや初めから俺のものだ」 この世界に生まれ落ちたときから、ずっと。 口元を歓喜に歪めながら、囁きで女神を呪縛する魔王の瞳から、雫が零れ落ちる。頬を滑り、女神を抱く己の腕を濡らしたのは、抗う術すら失った彼が流した涙だ。 ヴォーダンは溢れる涙を拭うこともせず、身を震わせ― 「っははははははは……!!」 笑った。魔の気配に満ちた城を揺らしながら、笑い続けた。 じきに、この涙を流す彼は、絶望の炎に身を焼かれ跡形もなく消えるだろう。もしや、この涙こそが彼自身だろうか。 涙が枯れるときに、彼は全てを手に入れる、取り戻す。 己の自由になる強大な力を持つ体。気高く美しい女神ブリュンヒルデ。思い上がった人間たちに奪われた愛しい世界。 狂ったように喜ぶヴォーダンは、ただただ笑い続けた。 それはまるで、神話の時代、終末の戦いの始まりを告げる、笛の音のように。 後書き 初めてここまで救いのない小説を書きました。 何故こうなったのか、は一応ゲームをプレイして考察した結果ではあります。 上手く纏めることは出来ませんでしたが、以下考察になります。 back 魔王に関係する語録 1.「楽園の乙女を連れて帰るのは、俺だ。こいつをこの手に収めれば、怖いものなどないのだからな。 そして女神も手に入る……気高い、女神ブリュンヒルデが! いいか、こいつは、俺の獲物だ。」 2.「俺の心を慰めるため、永遠に魔城で歌い続ける小鳥になるだけだ。」 3.「これから魔王は、アンタを絶望の淵に落そうとしてる。」(夢魔) 4.「今、魔王はアンタを、ノドから手が出るほど欲しがってる。」(夢魔) 夢魔に関係する語録 1.(あの子の心を折れと言われたけど……オレにはできない…… あの子の心は、このオレが永遠に捕らえて、傍においておくんだ、クククク……) 2.「オレはアンタを、何も殺したいわけじゃない……憎んでいるわけでも。」 3.「絶望に呑みこまれれば、苦しまなくてすむ。誰も、何も憎まずに……悲しまずに生きていける。 ヘンリエッタ、ずっとここにいろ。憎悪はいずれ、悦びに変わる。」 4.「これが、オレの本当の姿……小さく弱い夢の世界の住人に過ぎません。」 5.「寂しいだろうから、オレがそいつの夢をみせてやるよ。いるんだろう?好きなヤツ。」 6.「大体のヤツは、好きなやつの姿を見せた方が喜ぶのに。」 本当はもっと多いですが、今手元にあるのがこれだけなので… 二人とも見事なヘンリエッタの人権無視っぷりです。 小説中で夢魔の言動は、明らかに夢魔1.の台詞から来ています。 ヤーコプの姿をとったのも4.5.6.から来ています。本当はGOODのときの「痩せっぽっちで青ざめた〜」の台詞が一番の理由ですが…とにかく彼は、自分の本来の姿では愛されないから、愛される姿になってと言った感じでしょうか。 またヘンリエッタが安心させることができるのがヤーコプの姿だからという理由でもあります。 何にせよ、夢魔はヘンリエッタの心が目的、というのが明言されていて助かりました。 逆に魔王は困りました。楽園の乙女がすっごく欲しいのは4.の言葉でよく分かります。夢魔、お前いいヤツだなぁ、分かりやすく言ってくれて…木の実をあげたくなります。 が、夢魔がヘンリエッタの心が欲しいのに対して、魔王はどういったかたちで欲しいのかが、まるで読めません。 五体満足、意思もある状態でいるのか、体だけ欲しいのかが、ゲーム中では判然としません。 BADEDのほとんどが、夢魔によって悪夢に永遠に囚われて終わり、です。ということは現実のヘンリエッタの体は眠り続け、もちろん意思はありません。この後、ヘンリエッタの体は魔王に献上されていると考えるのが妥当でしょうか。 ならばやはり体だけが欲しいのか?かと思えば、夢魔が魔王に逆らって夢の世界にヘンリエッタを匿おうとしたときは、焦りまた怒っていました。たとえ夢の世界に逃れようと、体は現実では変わらずに眠り続けているのに… 体だけ欲しいのなら、この状況はかなり好都合なはずです。はっきり言ってBADと状況は変わっていません。にも関わらず焦るというのは、ヘンリエッタの心も必要なのだろうか?となります。 とすると、今度はBADで悪夢の中にい続ける描写はなんなのか?と堂々巡りになります。 結局今回の小説では、「夢魔はヘンリエッタの心、魔王はヘンリエッタの体が欲しい」という前提で「夢魔はヘンリエッタの体、魔王はヘンリエッタの心は不要」という設定にして書きました。 ただし魔王はヘンリエッタの心を「壊してしまっても構わない」と思い、夢魔が自分に従うなら「お前の好きにしていい」と言っている、という風にしています。王様が自分の家臣に、自分の所有物を下賜するような感覚です。つまり裏切り者に自分の所有物を奪われるのは許せない、から怒ったのかな、という解釈です。 あと、ヘンリエッタの姿が大人になったのは、ルートヴィッヒを大人の姿にしたことがあることと、ファンブックの女神のラフのところに「大きくなったヘンリーみたいな」というメモがあるからです。 ということは面影がある→大きくなったらブリュンヒルデそっくり?→そうだとしたらヴォーダン絶対成長させてから侍らせるよね?という妄想からこうなりました。 また、ヴォーダンがわざわざ口づけしたのも成長させるためではなく、かすかに残るヤーコプ兄さんを苦しめるためです。人の心を弄ぶ言動が多い彼ならやりかねない、と思いましたので。 あとは結構、二人とも自分の心情(欲望)吐露しているので、そんなに解説はいらないかと思いますが… 夢魔はヘンリエッタの心を手に入れたいと思い、同時にヘンリエッタの心を守りたいと思って、ヤーコプの姿で幸せにしようとしています。が、同時にそれが自分の姿ではないことをどこか虚しくも思っています。 魔王は…3つも念願かなって、この小説の中で唯一心から幸せな存在です。というより彼がそうであるからこそ他者は幸福ではないですが。 ヘンリエッタは夢魔の見せる優しい夢の、拭いきれない違和感に苛まれながら、夢の中で生きていくことになると思います。 ヤーコプ兄さんは、間もなく完全に消えるでしょう。 back |